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キャンペーン第四話その2

 リンドの村の宿の亭主が語るところには、季節はずれのこの大雨の原因について相談すべく、村の若者3人を村はずれの魔導師の家へと向かわせたのが3日前のこと。いずれも村の腕自慢、しかも魔導師の家がある村はずれの森については熟知しているという。彼らなら1日とせず戻るはずが既に3日・・・、彼らに何かがあったのか否かもわからないまま、次の手を打ちあぐねていたところだという。

 「・・・もしかして、ここに来る途中に私、見かけたかもしれません。」メイリアが口を挟んだ。
 「何!?知っているのか、雷電・・・じゃなくて、メイリア!」
 「森の中の赤い屋根の2階建ての洋館でしょうか?」フェフラの声は聞こえなかったのか、メイリアが続けると、
 「おお、なら話がはやい。お嬢さんがおっしゃるとおり、その家が魔導師ガーナックの家でさ。」亭主が答えた。

 すると、近くで飲んでいた若者が突然叫んだ。
「ガーナックだと!この大雨は全てあいつのせいだ!あいつの呪いだ!!前から怪しげな研究をしていると思っていたら、案の定こんなことになっちまって・・・。俺のダチもあいつにやられちまったに違いない・・・。うっうっ・・・。」
 若者はずいぶんと酔いがまわっているのか、そのままテーブルに突っ伏してしまった。

 自然と一行の視線が亭主に集まった。
 「こんな田舎町だ。村はずれの森なんかに住んでる魔導師に変な噂が立っちまうのもわかるだろう?だが、ガーナックさんは確かに浮世離れしているかもしれないが、悪人ではないのは確かでさ。ちょうど、道をご存知の方もいらっしゃるようだし、様子を見てきてはもらえねえでしょうか?」

 今晩はゆっくり休んでいただいて、翌朝、正式に村長から依頼させて欲しいという亭主の申し出をありがたく受け、一行は宿に泊まり、疲れた体をしばし休めることにした。

 ・・・カンカンカンカン!けたたましい鐘の音が早朝の村に響きわたり、一行の眠りを破る。「河だ!堤防がやばい!!」村人の叫びが聞こえてくる。
 大慌てで身支度を整えた一行が宿から飛び出すと、すでに多くの村人が河の方へと走っていく後姿が見える。一行が河に到着すると、堤防の土嚢積みが始まっていた。

 「手伝います!」カレリクがまっさきに村人の列に加わっていった。
 「私も力仕事はそれなりに出来ますし・・・、あ、こちらが手薄のようです!増援お願いします!」メイリアも指示を飛ばし始めた。
 「ほら、ソーリンさん、急いで急いで!・・・、あ、力んだら・・・。ちょっとトイレに」ヴォルテールもはりきっている。
 「では、わしの力をみせるか。伊達に鍛冶屋の息子ではないぞ」ソーリンもやっと追いついたようだ。
 「みんな、頑張ってね~」レギンはあちこちふらふらして、手伝ってるのやら、邪魔しているのやら。
 「お、重い・・・」フェフラも非力ながら、手伝っている。

 小一時間も経っただろうか、一段落したところで一行はかっぷくのいい男性に声をかけられた。村長だった。宿の亭主から昨晩のことは聞いているらしく、正式に調査依頼をしたいとのことだった。報酬も出すという。
 「お手伝いいただいたばかりで申し訳ありませんが、この豪雨の中ガーナック殿の屋敷までたどり着けるのは皆さんをおいておりますまい。なにとぞお願い申し上げます」
 村長の言葉に一行は深くうなずく。そして、いよいよ魔導師ガーナックの屋敷へと向かうこととなった。
 
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by geleb | 2011-10-30 02:03 | D&D4e

キャンペーン第4話

 「いつまで降るつもりかしら・・・」メイリアは酒場の窓を激しく打つ雨粒を見るとはなしにつぶやいた。

 リンドの村に1軒だけの酒場。メイリアは窓際に一人座っていた。思い返せばここにたどり着いたのも偶然のなせる技に過ぎない。サーイによる襲撃。両親の死。始まった放浪の旅・・・。復讐の思いは募るが、方法もわからずあてどなくさまよう日々。

 「そういえば、彼は無事だといいのだけれど・・・」ホットワインを一口飲み、またメイリアがつぶやく。彼とはそんな放浪の日々の中出会った若きウィザードのことであった。互いに未熟者ではあったが、それゆえの気安さから旅をともにし始めたばかりのこのウィザード、フェフラとは連絡船の難破騒ぎの中ではぐれてしまっていた。

 メイリアもまた遭難者の一人であった。命からがら難破船から逃げ出し、気づくと一人浜辺に倒れていた。豪雨は降り続き、朦朧とした意識の中、ただひたすらに明かりを求めて、やっとの思いでたどり着いたのがこのリンドの村であった。
 
 落ち着いた様子は見せているものの、その美しい黒髪からポタポタとしずくがたれている事からも、メイリアが酒場に着いてさほど時は経っていないことが見て取れた。

 カラカラン・・・。乾いた音をさせて、酒場の扉が開いた。
 
 「亭主殿、エール大ジョッキ5つ!」「それより腹減ったよ~」「やっと、濡れ鼠から開放ですね」
 
 全身ずぶ濡れのにぎやかな一行が転がり込むように酒場に入ってきた。その中には見慣れた顔がいるのがすぐわかった。

 「フェフラさん・・・?」メイリアの問いかけに、フェフラは濡れたフードを脱ぎながら答えた。
 「メイリア!こんなところで出会うなんて!」抱きつかんばかりのフェフラだったが、メイリアは華麗なステップで受け流した。

 「ブハー、生き返るのう」ソーリンはすでに2杯のジョッキを飲み干していた。
 「ソーリンさん、一杯いただくよ」といいながら、ヴォルテールもあっという間にエールを飲み干す。
 「ぬお、それでは足りなくなるではないか!亭主殿、大ジョッキ3つ追加!」

 一行はそれぞれ思い思いの飲み物を飲みながら、話がつきない様子のメイリアとフェフラを遠巻きに眺めていた。

 「レギン、あの娘さん確か同じ船に乗ってませんでしたか?」カレリクの問いかけに
 「ごめ~ん、覚えてない」とどこから持ってきたのかピーナッツをほうばりながら、レギンは答える。
 
 「ねね、お二人知り合い?フェフラ、紹介してよ~」立ち話を続けるフェフラとメイリアを下から覗き込みながら、レギンが聞いた。
 「あ・・・!これは失礼しました。私、ウォーロードのメイリアと言います。皆さんのことは船でお見かけしてましたよ」ぺこりと頭を下げながらメイリアが挨拶した。
 「そうそう、一緒に旅をしていたメイリアだよ。まさかこんなとこで出会えるなんて思わなかったから、びっくりしてたところさ」フェフラも応える。
 「こちらこそよろしくです!ここで会ったのも何かの縁です。一緒にお食事しましょう!」ヴォルテールが持ち前の陽気さで、メイリアとフェフラを一行のテーブルに招き入れた。
 タイミング良く、宿の亭主が料理を運んでくる。船の難破、遭難、野犬との戦闘・・・、腹が減らないわけもなく一行は亭主が料理をおくやいなや、食べ始める。
 「もぐもぐ・・・、それにしてもお姉さん、よく無事でここまでこれたねー、もぐもぐ」レギンが口に一杯にゆでたもも肉をほおばりながら、メイリアに尋ねた。
 「メイリアも浜辺に打ち上げられたんだけど、野犬とかには会わないままここまでこれたんだって」フェフラも食べるのに忙しそうだ。
 
 メイリアだけは食事も済ませたのか、ワインを傾けつつ話す。
 「ええ、フェフラさんのお話を聞いて、驚いていたところなんです。ここにたどりつくのだって、一人で心細かったのに、野犬の群れだなんて・・・みなさんほど、腕が立つわけではないですから」
 「そうだねー、一人じゃこのあたり物騒なのは僕らも一緒だよ。これからどこにいくにしろ、みんな一緒に行こうよ!」ヴォルテールの提案に皆、一様にうなずく。やはり、野犬の群れとの戦闘が応えたようだ。

 「おや?お客さん方、知り合いでいらっしゃったんですかい?それにしてもこの大雨の中、旅を続けてなさるとは物好きですなぁ」宿の亭主の問いかけにカレリクが答えた。
 「物好きと言われても・・・急な嵐で船が転覆して、気がついたら近くの浜辺に打ち上げられてましたし・・・」
 「そうそう、狼にも襲われたしね」レギンが続ける。
 「急な嵐?ハッハッハ、お客さん方夢でも見てるんですかい?この大雨はもう一週間も続いてますぜ。ほんっとに季節はずれもいいとこで困り果ててるとこでさ。」亭主は深刻な面持ちで言った。
 「なんと・・・!してみると、あれはなんだったのか・・・」ソーリンは困惑した表情だ。
 「何か不自然な感じがしますね」カレリクも思案顔で言った。
 「それはそうと、みなさんのような方々にお願いできればありがたいんですがねえ・・・」宿の亭主が思わせぶりな口ぶりで切りだした。
 

 
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by geleb | 2011-10-27 10:30 | D&D4e

キャンペーン第三話

  豪雨であった。単なる大嵐なのか、はたまた怪物のしわざか、運悪く転覆した船に乗り合わせた一行は、たどり着いた海岸を背に森林へと分け入っていった。しばらく歩き続けると、轟音が響いてくる。何の音だろうか・・・。不安に思った一行が陽光棒に点火すると、陽光棒の緑がかった光はごうごうと流れる濁った川を映しだした。川の流れは凄まじく、まるで滝のようだ。落ち葉や木々ばかりか、鹿だろうか、動物の死体も流されていくのが見えた。

 「ひどい濁流になっておるな・・・」ソーリンの顔は厳しい。
 「増水してそうだね、渡れるかなー?」レギンも軽口ではあるが、濁流をにらみつけていた。

 橋、はあった。増水する水の中、かろうじてではあったが、まだ水没はしていない。とはいえ、みるみる増えていく水かさに今にも飲み込まれそうである。一行は橋のたもとまで急ぐ。すると、激しい雨の向こう、おぼろげではあったが、明りらしききらめきがいくつか輝いているのに気がついた。

 「助かった!明りだ・・・。村かな?」フェフラが安堵の表情を見せる。 
 「急ごうよ!はやくしないと、渡れなくなっちゃうよ!」ヴォルテールが走り出そうとしたその時、
 「待て!」「待って!」ソーリンとカレリクが同時に叫び、目を合わせうなづく。

 バチバチと叩きつけるような雨音と、ゴウゴウと流れる濁流。その轟音の中をなお、つんざくような遠吠えが一声、響き渡る。呼び声に応えるように、数多くの吠え声や唸り声が聞こえてきた。

 「何かいるようですね。警戒して下さい。」カレリクが弓を構えながら、低い声で促す。ダガー、ウォーハンマー・・・それぞれが命をあずける得物を握りしめる。

 1頭、2頭、3頭・・・。もっといる。橋の向こうに現れたのは狼の群れのようであった。狼たちは、その目に陽光棒の光が反射した緑色のぎらめきを光らせている。と、その瞬間、猛烈な勢いで襲いかかってきた!もっとも素早い1頭がレギンに迫る。

 「こい!」ダガーを構えようとしたレギンだったが、一瞬狼の方が速かったようだ。レギンの肩から袖伝いに血が流れた。

 「むう!」意外にも素早く反応したのはドワーフのソーリンであった。
 「モラディンよ、その慈悲の涙により、こ奴らを静まらせたまえ!フォント・オヴ・ティアーズ」ソーリンの念唱により、豪雨に入り混じり銀の雨が降り注ぐ。ただの雨ではない。ソーリンの周囲におぼろげな光が浮かぶ。「く、くぅううん」何匹かの狼は目に怯えの色を浮かべ、戸惑っているようだ。
 
 「ソーリンさん、あとは任せろ!」ヴォルテールが飛び出してくるとともにブレスを放つ。雷鳴とともに狼が1匹吹っ飛び、焼け焦げる。
 「まず1匹」ヴォルテールは怒りの形相で狼たちを睨みつけると、奴らもにらみ返してくる。

 「いくよ」フェフラが片手を目の前に掲げ、意識を集中すると手のひらに火の球があらわれた!
 「スコーチング・バースト!」フェフラの詠唱とともに、火の球は一直線に狼の群れに飛び込み、爆発する。直撃した狼は黒こげに燃え上がり、鳴き声もあげずに倒れる。周囲の狼はさすがに野生の動きを見せ、巧みに避けるが、逃げ遅れた1匹の首すじの毛から煙が立ち上る。

 「ここは攻めるべきですね」カレリクが果敢に突っ込んでいく。目にもとまらない早業で立て続けに2本の矢を放つ。さすがに2本は予想外だったか、1本の矢が狼の体に突き刺さる。

 「さて、僕もお返ししないとね」レギンの血は止まったようだ。その腕が軽く振られただけのように見えたが、「・・・どさっ」レギンの短剣は襲いかかってきた狼を華麗に一差ししていた。
 「残るはでかい奴か。やっちまおう」レギンは巧みなステップで狼に近寄り、短剣をふるう。いや、ふるったかに見えたが、バランスをくずしていた。この豪雨である。皆、足元がおぼつかない。

 唸りのような地響きが足元から伝わってくる。突然、川の上流から巨木が流されてきて、橋に激突した。あわや橋が流されるかと思われたが、巨木は橋を乗り上げ、下流へと流れていく。だが、橋がぐらつき出したのも確かである。もう一度同じようなのが来たら橋が危ない・・・一行の脳裏にいやな予感がよぎる。

 一瞬の油断をつかれたか、狼が次々と飛びかかってくる。なかでもひときわ大きな狼が回転しながら、カレリクの太股の生地を食いちぎる。

 「・・・ぐっ!」思わず、カレリクが苦悶の声を上げる。
 「待っておれ。ヒーリングワード!」すかさず、ソーリンが詠唱すると、カレリクの体を温かな光が包む。カレリクは顔に安堵の表情を浮かべる。

 「お返しです!」カレリクは弓をつがえると、鋭い矢が狼に突き刺さる。
 「まだまだ!」さらにカレリクが放った矢は2本に分かれたかと思うと、それぞれ別の狼へと飛んでいく。
 「当たれ!」ヴォルテールの願いが通じたか矢はどちらも狼に命中したようだ。

 狼たちの傷も浅くはないようだが、まだかかってくることを止めようとはしない。一行の疲労の色も濃い。先に動いたのは狼たちだった。再び飛びかかろうとしたのか、狼たちが距離をとったその時!
 ズドドド・・・。何の予兆もなく、地面が裂け水が噴出してきた。川沿いにいた狼が何匹か直撃を受け、倒れる。自然の力に恐れをなしたか、数的不利に気づくほど賢かったのか、狼たちは怯えた表情を浮かべ始めた。
 ヴォルテールはその隙を逃さなかった。ロングソードを構え、狼の1匹に振りかざす。その迫力に恐れをなしたのか、狼の群れは逃げていった。

 「ふう、これぐらいでいいよね」ヴォルテールがソーリンに尋ねる。
 「そうじゃな、悪鬼の類ではなし、追い払いさえすればよい。それより早く休みたいものじゃ」ソーリンが答える。
 「ちぇ、ちょっと動き足りないけど、次の機会かな」そういうレギンの唇はすっかり紫だ。
 「ともかく、急ぎましょう。ここは危険です」カレリクが促す。

 一行が急いで橋を渡りきったその瞬間、橋は大きなうねりに飲み込まれ、濁流へと流されていった。

 「ふわー、危なかったね」フェフラが緊張した面持ちで流れた橋を見つめる。

 そして、ほどなくして一行はさきほど見えた明かりの村へと到着する。「リンド」という村らしい。冷え切った体をまず温めることが先決だ。小さな村だ。宿屋もすぐに見つかるだろう。そして、その宿屋が新たな出会いと冒険への幕を開くことになる。

 さて、一行の運命やいかに。
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by geleb | 2011-10-19 11:16 | D&D4e

キャンペーン「七つの大罪と四つの終焉」第二話

ただひたすらに雨が降り続いていた。大津波により、連絡船はどこにも姿が見えなくなっていた。悲鳴も聞こえず、怒号も消え去っていた。波はその白い牙を容赦なく剥いていた。だが、船がいたことなど微塵も感じさせないように思えた波間に小さな姿が5つ。彼らだった。この暴風雨の中、必死に足掻いていた。か細くなっているようではあるが、彼らの命の灯はまだ消えていなかったようだ。幸運の女神アヴァンドラのいたずらか、それとも彼らの持つ英雄たる秘めたる力か。壊れた船の一部だろうか、木材の切れ端に彼らはやっとの思いでしがみついていた。

「うう、このままじゃ死んじゃうよ!」レギンはその小さな体をたくみに木材にからみつけており、言葉とは裏腹に流されるとしても最後と思われた。
「あきらめちゃだめだよ」魔法の力だろうか、その手を軽く添えているようにしか見えなかったが、フェフラは木材とつかず離れず漂っている。
「そうです。最後まで力の限りを尽くすのです。まだ私たちには残された力があるはずです」とはいえ、カレリクの美しい顔にも疲労の色は濃い。
「ソーリンさん、しっかりして!」「ぐぼ、ぐぼぼ・・・」嵐の中、なんとヴォルテールはドワーフの神官をわきに抱え、なおあきらめる様子はないようだ。
「(これがドラゴンボーンの秘めたる力か・・・この者達のこと、見直さねばならないようじゃ)」ソーリンは薄れる意識の中で考えていた・・・。

どれほどの時が流れたか、彼らにとっては無限にも思えた時間ではあったが、おそらくはわずかな時間に過ぎないのだろう。一行は見知らぬ浜辺に流れ着いていた。なお、雨は激しく降り続いていた。また、流れ着いたのも彼らばかりではなかった。多くの木材、ロープの切れ端、びしょぬれの帽子、きれいなままのりんご、そして、数知れない遺体。
大津波と、恐らくは怪物のしわざか船は激しく損傷させられながらも、そのほとんどはこの見知らぬ浜辺に打ち上げられたようだった。不自然な波の流れ、である。いや、むしろこの嵐に魔法の力が関わっている証と考えるべきか。

「助かったのは僕らだけなのでしょうか・・・」フェフラが肩を落としてつぶやく。
「うむ、むごいことだがそのようじゃな」ソーリンは手早く聖別の儀をほどこしていく。
「むしろ生き残った幸運を喜ぶべきなのでしょう。この出会いは必然だったのかもしれません・・・」カレリクは身支度を整えている。
「ほら、みんなの荷物も探してやったよ!感謝してね~」レギンは膨大な残骸から手際よく皆の荷物を見つけだしていた。
「腹減ったねー。はやく休めるところを探そうよー」ヴォルテールからは疲れた様子はうかがえない。

「そうですね、このままここにいても体力を失うばかりです。今は休めるところを探すべきでしょう」
カレリクの促すまま、一行はとりあえず浜辺を離れることにした。雨がますます激しさを増す中、海に背中を向けると、そこには鬱蒼とした森林が広がっている。彼らはびしょぬれの重い靴を引きずり、森の中へと分け入って行くのだった・・・。
 さて、一行の運命やいかに。(続く)
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by geleb | 2011-10-12 10:19 | D&D4e

キャンペーン「七つの大罪と四つの終焉」第一話

 「だれだ!ドワーフ勤製の新造船だから、全然揺れないなんて言ったのは!」
ソーリンは必死に胸のむかつきを抑えてつぶやいた。
 「・・・だって、そうでもいわなきゃソーリンさん、乗ってくれなかったじゃないですか~。”ドワーフの”っていうとすぐ乗り乗りになってくれるから、僕は助かってますが」
ヴォルテールは表情がつかみにくい、そのドラゴンボーン顔でにやけていたようだった。

 いい船旅ではあった。遊星海の海面は見渡す限り澄み渡り、その青さはそのまま空まで繋がっていた。実際、揺れもほとんどなく、いくらドワーフとはいえソーリンの船酔いはいささか度を越しているといわれても仕方のないものといえよう。

 「どうしたのですか?顔色が良くないようですが・・・」優美な顔であった。カレリクは、その美しいエルフの顔をしかめて、真剣に心配している様子から、その心根の良さがにじみ出ている。
 「な~に~?カレリク、どうかしたの?」
 「いえ、レギン、こちらのドワーフさんの顔色が余りに悪いものですから・・・」
 レギンと呼ばれたのは、この辺でも見かけるのは珍しい小柄な種族、ハーフリングのようだ。

 「ドワーフさん、ドワーフさん、どうしたのかな?ねえ、大丈夫?」
 レギンは無造作にソーリンに近づいていく。ソーリンがぐったりしているのを好機とみたのか、レギンの手があやしい動きをしようとしたその刹那・・・。
 「君はローグなのかな?だめだよ、そんなことしようとしちゃ。僕の友達に手を出すと僕、怒るよ」
 ヴォルテールがソーリンの前に鋭い眼をして、立ちはだかっていた。言葉は優しいが、怒らせると恐いタイプのようだ・・・ウォーデンの面目躍如といったところか。

 「おや?気分が悪い方がいるようですね。みなさん、これで気を紛らせて差し上げましょう。ご覧下さい!」
 ふと通りかかったハーフエルフが突然、その手から青く光る火花をパチパチと吹き上げはじめる。船上での火花に船員達が色めき立つが、ほどなくウィザードの手品とわかり安心したようだ。海原以外見るものの無い船旅での思わぬ余興に子供達はもちろん大喜びし、大人たちも好意的な視線で見守っていた。

 「ほほう、まるで鍛冶場の火花ようじゃ。故郷を思い出すのう!」
 ソーリンもしばし船酔いも忘れて、ウィザードの手品に夢中なようだ。
 「これは良いものを見せてもらった。そなた、名はなんと申す?」
 ソーリンの問いかけにハーフエルフのウィザードは答える。
 「フェフラと言います。喜んでもらえたようで、僕も嬉しいです」
 「お兄さん、すごい技使うね~。まあ、おいらもナイフさばきじゃ負けないけどね」
 「レギン、たまには素直になったらいかがですか?」
 「すごいなー。僕、花火好き!」
 フェフラの手品をきっかけに、ソーリン、ヴォルテール、カレリク、レギン、フェフラの5人はいつしか談笑を始めるのだった。

 「・・・・うぅぅ」
 真夜中になり、雨が降り始めていた。ごまかされていた船酔いをしっかり思い出したのかソーリンはついに逆流してしまっていた。
 「困りましたね。陸に上がるまでは我慢してもらうしかないですし・・・」
 「それにしても臭いね!」
 「ソーリンさん、大丈夫?僕のブレスでひげ乾かしたら少し臭いも取れるかな?」
 「ええい!そんなことをしたら、わしの自慢のこのひげが燃えてしまうじゃろが!・・・うぅぅ」

 「それにしても、先ほどから随分揺れますね?」
 ふとフェフラがつぶやく。確かに昼間とはうってかわって、船倉にいても右に左に大きく船が揺れるのが感じられる。感じられるどころか、立っていることもできないくらいに揺れは加速している。と、甲板の方から喧騒が聞こえ、それとともに低い振動が船体を通じて伝わってきた。
 「様子がおかしいです!急いで甲板へ!」
 カレリクにうながされ、一行が甲板に出たところで見たのは、マストの数倍はあろうかという高さの大津波が今にも船を飲み込もうとしているところだった。
 「・・・!」
 あっという間のことだった。津波の衝撃で船はあっさりと転覆し、数々の悲鳴と怒号とともに甲板にいた者はすべて嵐吹きすさぶ夜の海へと放り出されたのだった。だが、それだけではない。確かに見えた・・・。海へと放り投げられるその瞬間、津波の中に明らかに巨大な生物の影が。
 ある者は(果たして、この津波は天災なのだろうか、それともあの怪物が引き起こしたのだろうか・・・)と考えつつ、またある者は(ああ、これでソーリンの臭いゲロとおさらばできる・・・)と考えつつ、またある者は(僕の花火を見てくれた子供達もこの津波では・・・)と考えつつ、大海原を漂っていったのであった・・・。
 さて、一行の運命やいかに。(続く)
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by geleb | 2011-10-07 18:19 | D&D4e