キャンペーン「七つの大罪と四つの終焉」第二話

ただひたすらに雨が降り続いていた。大津波により、連絡船はどこにも姿が見えなくなっていた。悲鳴も聞こえず、怒号も消え去っていた。波はその白い牙を容赦なく剥いていた。だが、船がいたことなど微塵も感じさせないように思えた波間に小さな姿が5つ。彼らだった。この暴風雨の中、必死に足掻いていた。か細くなっているようではあるが、彼らの命の灯はまだ消えていなかったようだ。幸運の女神アヴァンドラのいたずらか、それとも彼らの持つ英雄たる秘めたる力か。壊れた船の一部だろうか、木材の切れ端に彼らはやっとの思いでしがみついていた。

「うう、このままじゃ死んじゃうよ!」レギンはその小さな体をたくみに木材にからみつけており、言葉とは裏腹に流されるとしても最後と思われた。
「あきらめちゃだめだよ」魔法の力だろうか、その手を軽く添えているようにしか見えなかったが、フェフラは木材とつかず離れず漂っている。
「そうです。最後まで力の限りを尽くすのです。まだ私たちには残された力があるはずです」とはいえ、カレリクの美しい顔にも疲労の色は濃い。
「ソーリンさん、しっかりして!」「ぐぼ、ぐぼぼ・・・」嵐の中、なんとヴォルテールはドワーフの神官をわきに抱え、なおあきらめる様子はないようだ。
「(これがドラゴンボーンの秘めたる力か・・・この者達のこと、見直さねばならないようじゃ)」ソーリンは薄れる意識の中で考えていた・・・。

どれほどの時が流れたか、彼らにとっては無限にも思えた時間ではあったが、おそらくはわずかな時間に過ぎないのだろう。一行は見知らぬ浜辺に流れ着いていた。なお、雨は激しく降り続いていた。また、流れ着いたのも彼らばかりではなかった。多くの木材、ロープの切れ端、びしょぬれの帽子、きれいなままのりんご、そして、数知れない遺体。
大津波と、恐らくは怪物のしわざか船は激しく損傷させられながらも、そのほとんどはこの見知らぬ浜辺に打ち上げられたようだった。不自然な波の流れ、である。いや、むしろこの嵐に魔法の力が関わっている証と考えるべきか。

「助かったのは僕らだけなのでしょうか・・・」フェフラが肩を落としてつぶやく。
「うむ、むごいことだがそのようじゃな」ソーリンは手早く聖別の儀をほどこしていく。
「むしろ生き残った幸運を喜ぶべきなのでしょう。この出会いは必然だったのかもしれません・・・」カレリクは身支度を整えている。
「ほら、みんなの荷物も探してやったよ!感謝してね~」レギンは膨大な残骸から手際よく皆の荷物を見つけだしていた。
「腹減ったねー。はやく休めるところを探そうよー」ヴォルテールからは疲れた様子はうかがえない。

「そうですね、このままここにいても体力を失うばかりです。今は休めるところを探すべきでしょう」
カレリクの促すまま、一行はとりあえず浜辺を離れることにした。雨がますます激しさを増す中、海に背中を向けると、そこには鬱蒼とした森林が広がっている。彼らはびしょぬれの重い靴を引きずり、森の中へと分け入って行くのだった・・・。
 さて、一行の運命やいかに。(続く)
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# by geleb | 2011-10-12 10:19 | D&D4e